[公開日]2023/02/23
[更新日]2023/05/19

仮想通貨のサイバーセキュリティリスクとそのリスク対策法

仮想通貨で取引する人が増えている昨今、ハッキングのリスクはますます高まっています。オンラインで取引をする限り、「絶対に安全」というものはありません。この記事では、仮想通貨にどんなリスクがあるのか、またそのリスクを軽減するためにできることは何かを説明します。

せっかく購入した仮想通貨を失わないように、リスクをしっかりと理解して対策をとるようにしましょう。

仮想通貨取引所におけるリスク

仮想通貨においてリスクとなるのは、通貨そのものではなく仮想通貨の取引所です。仮想通貨の取引で使われるブロックチェーン技術は、透明性が高く改ざんされにくい仕組みであるため、高いセキュリティを維持できます。ただ、ブロックチェーンにより分散型管理が可能になっているものの、取引所に多額の仮想通貨が集まる形となってしまい、ハッカーに狙われやすくなっているのが実情です。

取引所の個人アカウントに紐づけられた情報がハッキングされたり、漏洩してしまったりすると、自分の所有する通貨が盗まれてしまう可能性があります。

2014年に、日本最大のビットコイン取引所であったマウントゴックスがハッキングされ、巨額の仮想通貨と利用者からの預かり金が奪われてしまった事件を覚えている人も多いでしょう。これは取引所のセキュリティに穴があったため起こったことです。結果的に、マウントゴックスは経営破綻し、利用者への資産返還もされていません。

アクセスキーの個人管理におけるリスク

また、個人の情報管理にもリスクが伴います。仮想通貨にアクセスするためのプライベートキーを個人のパソコンに保存している人も多いと思いますが、デバイスにセキュリティ対策を施していない場合、このプライベートキーが悪質なハッカーに狙われるリスクは高くなります。ハッカーにとっては、キーさえ盗んでしまえば、個人が持つ仮想通貨にアクセスするのはとても容易なことなのです。

仮想通貨のリスクを防ぐための方法

このようなリスクは常につきまといます。なるべく被害に遭う確率を減らすために個人でできる対策を、以下にいくつかご紹介します。

信頼できる取引所のみを利用する

仮想通貨取引所という事業自体が新しいものなので、どこが信頼できる取引所なのか、というのは難しい問題です。ただ、日本では仮想通貨取引所は事業登録制度が導入されているため、登録をしている取引所かどうかが最初の判断材料となるでしょう。そして、運営会社の母体が大きく信頼性のある企業であるかどうかも確認するのをおすすめします。取引所のセキュリティ能力をよくリサーチしてから選びましょう。

仮想通貨をオンラインではなくハードウェアに保管する

仮想通貨は、クラウドやオンラインのウォレットではなく、ハードウェアウォレットに保管するのをおすすめします。ハードウェアウォレットはインターネットに接続されていないため、基本的に本人以外がアクセスするのは不可能となります。現在では複数のハードウェアウォレットが市場に出ており、それぞれに特徴があります。有料ですが、価値のある投資となるはずです。

パソコンにセキュリティツールを導入する

しかし、ハードウェアウォレットもパソコンに接続するプロセスが必要となるため、そのパソコンがハッキングされていたら危険が及ぶ可能性があります。マルウェア感染を防ぐために、パソコンにはセキュリティツールを必ず導入しましょう。

有効なツールには、ウイルス対策ソフトやVPNサービスなどが挙げられます。ウイルス対策ソフトは怪しいファイルやリンク、ソフトウェアなどを検出、削除してくれ、さまざまな種類のマルウェア対策に最適です。ただし、情報の暗号化はしてくれません。一方、VPNの仕組みは、仮想のネットワークトンネルを構築してインターネット通信を暗号化してくれるというもので、通信中の個人情報保護に適しています。VPNではマルウェアの検出、削除はできませんが、IPアドレスやファイル、パスワードなどのプライベートな情報が第三者に読み取られるのを防いでくれます。さらに、VPNを使用すると、日本国外にいても、日本のコンテンツを自由に閲覧できるというメリットもあります。

ウイルス対策ソフトとVPNの両方を組み合わせることが、サイバーセキュリティにおいて最善の方法と言えます。上記で挙げたような対策を講じ、自分の資産を守りましょう。